シェアハウス、地方の若者にも浸透 他人との暮らし、程よい距離感で
空き家を修理する男性=瑞浪市大湫町
「一緒にお酒を飲んだり、遊んだりできて楽しそう」。映像ディレクターの男性(25)=岐阜県瑞浪市釜戸町=は、4月から知人らと住宅をシェアして暮らす計画を立て、市内に空き家を借りた。1歳下の親戚とマンションの一室で暮らした経験があり、共同生活には慣れている。まだコロナ対策に気を使う毎日だが、いずれは「気軽にバーベキューや食事会を催したり、旅行に行ったりできたら」と考えている。 誰かと住居を分け合って暮らすシェアハウス。家賃負担を軽くできるため都市部で人気だが、地方でも主に若者の間で利用が広がりつつある。 男性が借りた空き家は瑞浪市の東端、JR中央線釜戸駅から車で10分ほどの大湫(おおくて)町にある。かつて教員住宅として使われた平屋の木造住宅で、家賃は年4万円と格安だが、床の一部は抜け落ち、壁や天井も痛んでいた。男性は「自分の住みたい家にしたい」と仕事の合間を縫って壁や床を張り替え、雨漏りする天井を修理している。 一つ屋根の下で他人と生活することに抵抗感はないのだろうか。男性は「全然ない。一緒にいるのが嫌なときは自分の部屋に行けばいい」と涼しい顔だ。各自の寝室を設けることで個人の時間を確保し、たまに一緒に過ごす距離感がちょうどいいという。 日本シェアハウス連盟が昨年9月にまとめた調査によると、シェアハウスは年々増加し、現在は全国に約5100棟。うち約7割が東京都内にある。家賃や入居費用を安く抑えて利便性の高い地域に住めるからだ。家賃が安い地方では都市部ほど急速には増えていないが、シェアハウスで暮らす男女を映した人気テレビ番組の影響などから関心は高まっており、同連盟の高橋圭一専務理事は「人と一緒に暮らすことへの壁は低くなっている」とみる。 女性会社員(24)=岐阜市=もシェアハウスで生活する一人だ。1年ほど前から、柳ケ瀬商店街の一角で同世代の女性3人と一緒に暮らしている。うち2人とは、入居するまでほとんど会ったことがなかった。「知らない人と住むのって、ストレスがたまってすぐ抜け出したくなるかと思ったけど、価値観が合って話すのが楽しい。疲れていたら部屋にこもることもできる」と話す。 家賃は月2万7千円。リビングやキッチン、洗面所、シャワー室などを共有し、4人それぞれに個屋がある。普段はそれぞれ好きな時間に自分で食事を作って食べるなど、プライベートを尊重。仕事から帰った夜、共有スペースでよくみんなと話すという。 女性会社員は「帰って誰かがいるのはすごくうれしい。実家にいればいろいろと面倒だけど、シェアハウスなら程よい距離感でいられる」と受け止める。笛吹さんも「基本は別々の生活で、夜に一緒になるくらいがちょうどいいバランス」と期待している。他者とゆるくつながりたい。若者の価値観は、暮らしの在り方にも大きな変化をもたらしている。
岡山のカサブランカにもおいでんせえ~